アシュタンガヨガのジャンプバック、ジャンプスルーを解剖学的に考える


アシュタンガヨガの特徴のひとつはポーズの順番が決まっていること。立位、スタンディングのポーズから始まり、坐位、シッティングのポーズへと続いていきます。シッティングに入るとポーズとポーズの間に「ヴィンヤサ」と呼ばれる一連のポーズの流れが入ってきます。初めてこの流れを目にした時は驚いた方も多いのではないでしょうか?まるで宙を浮いているかのように見える一連の流れ。その中のジャンプバック、ジャンプスルーという動きはアシュタンガヨガを練習している方にとってなかなか習得できない動きの一つです。今回はこのジャンプバック、ジャンプスルーについて考えてみたいと思います。

ジャンプバック、ジャンプスルーをしている時、体を支えているのは腕になります。手のひらをしっかり着け、動きの軸として腕で体を支えなければなりませんので、この筋力がない方にとっては力強さを養う必要があります。

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しかしジャンプバック、ジャンプスルーをしている体を床から引き上げる力は腕だけでしょうか?もし手で床を押す力、腕力で体を押し上げているのならば、肩に力が入り呼吸も浅くなってしまうでしょう。腕力の強い男性にとっては体を腕で持ち上げることはあまり難しくないかもしれませんが、その腕力をなるべく使わない意識も必要かもしれません。

では体を床から引き上げる力はどこからくるのかと考えた時、最も重要になってくるのが呼吸です。深い呼吸が行われているときの体は、お腹や背中の表面ではなく深い部分にある筋肉がはたらき体幹を安定させてくれています。そして特に息を吸うときは体を引き上げるような力がはたらいています。この呼吸の力がまるで宙を浮いているようにお腹の中から体を引き上げ維持してくれます。呼吸から生まれる力が充分にはたらけば腕の力は最小限に、軸として支える力だけで済みますので体に余計な力も入らず、練習後の体の疲れも変わってくるでしょう。

ジャンプバックをするとき、ジャンプスルーをするとき、呼吸が止まっていないでしょうか?ジャンプしてから着地するまでずっと呼吸をし続けているでしょうか?呼吸をしていると思っている方であっても「吸って」はいても、「吸い続けて」いることができていないかもしれません。ジャンプしてから着地するまでずっと吸い続ける、そして吐き続けることができてはじめて呼吸の力は発揮することが出来ます。

そして支えている両腕の中に体を通すならば、なるべく体は小さく、コンパクトにたためたほうが通りやすいような感じがしないでしょうか?座りながら膝を曲げて胸に引き寄せてみてください。なるべく足を胸に引き寄せるためには、少し背中も丸め太ももを引き寄せ、足だけでなく体幹の力も必要なことがわかります。ここでも呼吸から生まれる力、体幹とその中にある筋肉は活躍しています。そして体を小さく丸めるためには筋力だけではなく体の柔軟性も必要になってくると思います。

 

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アシュタンガヨガはアーサナの順番が決まっている、という意味から考えると、ある一つの動きが出来ないということは、その動きを行う前の動きが充分にできていない、ということになります。要するに出来ないポーズがあるということは、それより前に行うポーズがしっかりとできていない、ジャンプバック、ジャンプスルーを行うために必要な柔軟性もその前のスタンディングのポーズの中で培っているはず、ということです。

自分自身の体がどのように動いているのか、動かしているのか、ポーズの中で体の動きを感じ、筋力や柔軟性を高めていくことは助けになるかもしれません。

そして体の動きをより感じていく前提として心地よく深い呼吸を保っていることが重要です。呼吸を深く保ち、その呼吸のリズムに体の動きを合わせる、ということは呼吸の力を養っていくために必要なことです。アシュタンガヨガの流れはスーリヤナマスカーラより始まります。そのことこそ呼吸と体の動きを結ぶことを大事にしているということなのかもしれません。

 

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ジャンプバック、ジャンプスルーは時間をかけて練習していくものだと思います。呼吸を大事に行いながら練習を続けることで、必要な筋力や柔軟性も身についてくるのではないでしょうか?ジャンプバックやジャンプスルーを何とかできるようになりたい、とあまりがんばりすぎても体の力みがうまれ、呼吸が浅くなり逆効果になってしまうかもしれません。自分自身が気持ちよく呼吸を行えているか、それを感じながら練習を進めることが、自分の思い描くジャンプバック、ジャンプスルーを習得する近道かもしれません。

では、安全で快適なヨガを!

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桜井くみ

TOKYOYOGAティーチャー/ 全米ヨガアライアンス認定YogaBodyトレーニングコース開発・指導担当。
20年以上の鍼灸・整体の経験を生かし、2005年よりヨガ指導を行う。
ヨガ手帳にてポーズの取り方や、季節の過ごし方を提案・監修する。
フリーランスの鍼灸・整体として活躍しながらも、高齢者の身体を知るためにケアマネージャーの資格を取得し、特別養護老人ホームで働いていたほどのカラダオタク。
判断、診断、治療ではない、「感じて、整える」有機的なヨガ解剖学を広めるためにYogaBodyトレーニングコースで指導をする。
現在、神戸在住。夫もヨガティーチャーであり、一児の母。

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