ブログ,ヨガ解剖学 2016.03.02
アイアンガーヨガとアシュタンガヨガの解剖学的な違いについて考えてみた
最近は、ヨガの種類も多様にあり迷うほどですがヨガの起源はインドにあります。
そのインドで生まれ世界的に知られている「アイアンガーヨガ」と「アシュタンガヨガ」という名前はヨガを実践している方ならば一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
一般的に「ヨガ」と呼ばれるアーサナ、ポーズや呼吸法など体を通して実践していく近代ヨガの起源になっていると言っても過言ではありません。
B.K.S アイアンガー師によって考案された「アイアンガーヨガ」と、シュリ.K.パタビジョイス師によって考案された「アシュタンガヨガ」、ともに取り上げられ比較されることも多くあります。
私は、その違いを一言で言うと「静」と「動」だと思います。
今回は身体を通して、解剖学的にその違いを考えてみたいと思います。
ポイントは骨と関節の動き
私たちの身体、立ったり坐ったり動いたりするその身体を支えている支柱は「骨」です。
身体の重さを支えるために骨は硬く丈夫にできています。
その骨と骨をつないで身体の動きを可能にしているのが「関節」です。
身体の動きは、言い換えれば骨の動きであり関節の動きです。
そして、骨と骨が向き合う関節にはそれぞれに正常な位置があります。
骨同士が正しい位置、距離を保っているときは安全でより動かしやすくなります。
例えば、関節の中には骨同士の先端が凹凸になっていていわゆる「はまる」構造を持っているものがあります。
骨同士が直接密着することはありませんが、関節が「はまって」いるということが構造的に安定していることにつながるのはイメージできるのではないでしょうか?
アイアンガーヨガの動きの特徴
アイアンガーヨガでは、1つのポーズを比較的長く保ち、固定的な身体の動きを実践します。
どんな姿勢であっても身体を支える柱が安定しているためには、骨と骨の位置関係、関節の構造にとって安全な位置を保つことが大事です。
関節構造にとって安全で安心な位置を保てるからこそ、余計な負荷もかけずじっくりと1つのポーズに向き合うことができる、とも言えます。
そして骨、関節を動かすのが筋肉です。
骨から骨へと関節をまたぎつないでいる筋肉を骨格筋と呼んでいます。
骨格筋の伸び縮みによって関節は動き、身体の動きが生まれます。
その動きの中には関節が構造的に不安定な位置も含みます。
不安的なときであっても骨や骨に近い所にある組織に支障なく動けるように守るのも筋肉の1つも役目です。
それには筋肉の柔軟性や強靭さが必要になってきます。
アシュタンガヨガの動きの特徴
アシュタンガヨガでは1つのポーズを保つ時間は比較的短く、流動的な身体の動きを実践します。
その動きの中には、時に関節の構造的には不安的となる場所も生まれるはずです。
身体の柱、という意味では少し不安定な場所にあっても安全に、安定してそこに留まるには筋肉の柔軟性、そして強さが大事になります。
アシュタンガヨガを行うと、そのしなやかさと力強さを最大限に感じられるのではないでしょうか?
2つの違い
アイアンガーヨガを実践していく中では、まず身体の柱を安定させ身体を固定的に動かし、さらに身体が安定できる場所に留まるために筋肉の柔軟性や強靭さを獲得していく。
アシュタンガヨガを実践していく中では、身体の柱が不安定な場所も含め流動的に動かし、支えられる筋肉の柔軟性や強靭さを感じながら身体の柱の安定を獲得していく。
解剖学、という点で考えてみるとこのようなことは言えないでしょうか?
そしてどちらが良いのか、という比較をすることもできないと思います。
もしこの2つの流派にゴールがあるとしたら、そのゴールは同じものであり、その道のりの違いであるように思います。
何を選ぶかではなく、どうつきあうか?
もちろんヨガはポーズだけでなく、呼吸法や瞑想も行い身体的にももっと様々な要素が関係しますし、何より解剖学的なことだけでは全てを推し量ることはできません。
それらのことを知りたいと思うならば自分自身が実践して感じること。
そして正しい指導を受けて実践することです。
まだヨガを始めて日が浅い方、これから始めようとする方にとってたくさんあるヨガの種類、流派のどれがいいのかと悩まれる方もいると思います。
どのヨガが良いのかと頭で考えるだけではなく、まず実践しやってみて、今の自分にとって心地の良い、好きなことから選んでみる、という選び方で始めてみてはいかがでしょうか。
そしてできるだけ長く続けるということ。
これはヨガだけに言えることではありませんが、長く続けなければわからないこともあると思います。
続けていく中でもずっとみてくれる信頼のおける指導者を見つけること。これも大事なことです。
これは私を含めたインストラクターがクラスに参加して頂ける方一人一人に対して長く続けてもらえる指導力、経験を持っているか、という課題にもつながりますね。
今回お話ししたことも頭の片隅に置いて頂きながらも、まずはみなさん自身の身体を通して挑戦してみてはいかがでしょうか。
それでは、安全で快適なヨガを!
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