YogaBodyコラム COLUMN

扇谷孝太郎のコラム,ブログ,ヨガと体のQ&A 2019.12.09

40代男性です。筋トレとストレッチどっちが大事ですか?

こんにちは、ロルファー™️の扇谷孝太郎です。

最初に結論を言ってしまうと、どちらも大事です。
目的や現在の体力に合わせて、筋トレの要素とストレッチの要素をどんな風にブレンドするかを考えましょう。

どんな身体になりたいのか?

どんな目的で取り組むのか?

それよって、筋トレの種類、ストレッチの方法も違ってきます。たとえば、
目的と現在の体力によって、こんな風に考えることができるでしょう。

Aさん…40才代で、今までまったく運動をしていない。
筋肉の貯金が赤字ぎみで疲れやすい。

最初のうちは心肺機能や血液循環を改善して代謝をあげられるように、筋トレをメインにして全身にアプローチします。
肩や股関節の位置など、身体の構造を感覚的につかむことにもつながります。
関節が硬くならないように、運動の前後のウォーミングアップやクールダウンも大切です。
それぞれに適したストレッチを組み込むと良いでしょう。

Bさん…40才代で、そこそこ運動をしてきたけれど、肩こりや腰痛などの不調がつづく。

筋肉の使われ方のバランスが悪い可能性が高いので、基本的な姿勢を維持する上で弱点になっている筋肉を強化します。
また、関節の可動域のアンバランスを改善するためのストレッチメニューも並行して行います。
単純に筋肉を伸ばすのではなく、筋力で関節の安定性を高めながら伸ばすタイプのストレッチが効果的でしょう。

Cさん…40才代で、基礎的な体力はあるので、スポーツやダンスなどのパフォーマンスを向上させたい。

技術のベースになる体幹の使い方を見直すなど、動作中の姿勢を維持する筋力や、技術向上のために必要な細かい筋肉を強化します。
並行して、動きの制限になっている関節の可動域を高めるストレッチを行います。
また屈筋と伸筋のバランス、インナーマッスルとアウターマッスルのバランスなどを改善するような筋トレによっても、関節の可動域を拡げられるでしょう。

なお、どのケースでもまず必要になるのは、

・正しい呼吸法によって動作中の姿勢を安定させられる能力
・身体の動きや周囲の空間、重力との関係をモニターするための「感じる」能力

です。
この二つを抜きにしては、筋トレもストレッチも本来の効果を期待できません。
この二つの要素が欠けている場合には、第3の選択肢としてロルフィングやフェルデンクライス、アレクサンダーテクニークなどのボディワークによって、これらの能力を高めることも考えられます。

また、ここでちょっと考えてみたいのは、そもそも筋トレとストレッチは一般に思われているほど異なる運動なのか?ということです。

ヨガの場合を考えれば明らかなように、どのような筋トレでも、ストレッチでも、運動中の姿勢や反動を制御するために必ず筋力を使いますし、同時に、関節の3次元的な動き(屈曲伸展/側屈/回旋)と可動域が要求されます。

そのような視点に立てば、実は筋力と柔軟性は、運動の仕方を正確にすることによって同時に向上させることも可能なのです。

わたしの講座ではしばしば、腕立て伏せなどの簡単な筋トレや、ヨガのポーズをしたあとの身体の状態を、筋反射テストや可動域テストでチェックします。

正しく動けていれば、筋トレで柔軟性が高まるということもありますし、ストレッチで筋力がアップするということも起こります。
当然、間違った動作をしていれば、筋力も柔軟性も低下します。

筋トレであれ、ストレッチであれ、結果だけを求めて、ただ機械的に反復するのは非効率的です。

プロセスに注目し、動作中の意識の向け方、呼吸法、フォームの正確さを大切にする事で、筋力の向上と柔軟性の向上の両立を図ることが
できるでしょう。

その意味では、ヨガは非常にすぐれたトレーニングシステムだと思います。

この記事を書いた人

扇谷孝太郎

1995年、演出家竹内敏晴氏の「からだとことばのレッスン」に出会い、身体と表現についての探求を始める。

2001年、ロルファーの資格を取得し公務員から転身。

現在は、恵比寿にてロルフィング(R)を中心に、クラニオセイクラルやソマティック・エクスペリエンス(トラウマセラピー)などの個人セッションを行う。

呼吸や感覚、イメージの活用を独自の視点でまとめた「動くための解剖学」は、ダンサーやヨギなど、高度な柔軟性と身体バランスを必要とする人々から高い支持を得ている。

・米国The Rolf Institute認定アドバンストロルファー
・米国The Rolf Institute認定ロルフムーブメントプラクティショナー
・クラニオセイクラルプラクティショナー
・ソマティック・エクスペリエンス認定プラクティショナー

 

ロルフィングはThe Rolf Institute of Structurl Integrationの登録商標です。

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