松本くらのコラム,ブログ 2020.01.22
クラニオセイクラルバイオダイナミクスとヨガの関係
[ポリヴェーガル理論が伝える 社会迷走神経]
ステファン・ポージェス博士のポリヴェーガル理論は、
自律神経=交感神経と副交感神経のバランス という今までの自律神経の概念を覆し、これら二つの神経より優位に働く[社会迷走神経=有髄腹側迷走神経]の存在を実証しました。
[社会迷走神経]は、社会交流(親子の交流を含む)によってしか命を育めない、哺乳動物全般に共有される神経です。
その場に[安全]を感知すると、認知・思考・行動に先駆けて、社会交流反応を開始し、[他者と共にいて、落ち着いてリラックスし、自分自身である]状態を作ります。
そして、他者の神経システムとの間で[協働調整]を行い、その神経状態を周囲に伝播させていきます。
(参照「ポリヴェーガル理論入門」春秋社刊)
ヨガやクラニオのように、
[自分自身の中に深く入って行き、そこに在るものと出会う]
ワークにおいて、[社会迷走神経]状態であることは、必須の条件と言えます。
[ニュートラルは、[社会迷走神経]状態を作り、伝播する]
前回お伝えした[ニュートラル]は、この[社会迷走神経]状態を自らに作り出します。
個の判断と思考を横に置いた、[いま・ここ]に全てを明け渡す意識状態です。
一人がこの意識に入ることが、場を変え、そこにいる他者の神経に伝播していきます。
私は、ヨガのクラスをファシリテートしたり、クラニオの施術を行うたびに、深いリラックスと自己探索は[ニュートラルに守られて現れてくる]ことを実感し、これが全てのセラピーに共通する施術者・ファシリテーターの在り方だと知りました。
それは同時に、‘許されて在り在りとあるすべて’の中で、この世界を味わっていく[体験]であり、在るものすべてが在ることを喜び、宇宙が宇宙であることを寿いでいると知る[体験]です。
その[体験]の一端に連なることが、ヨガの目的であり、クラニオセイクラルの目的でもあるのです。
クラニオを体験された、あるクライアントさんの散文詩を、最後に紹介します。
なに おもうことなく
ひとりでに なされる息のうごきに
なに おもうことなく
意識むけると
そこにある とわの楽園