松本くらのコラム,コラム,ヨガと体のQ&A 2020.06.02
クラニオセイクラルのタッチについて②
[タッチ]についての2回目は、触れる[手]の側から説明してみます。
[手が知覚するもの]
神経には、知覚神経と運動神経 という分け方があります。
知覚神経は、知覚した情報を脳に伝える神経(求心性)、
運動神経は、伝えられた情報に対する脳の指令に従って、リアクションする神経(遠心性)です。
お茶の入った湯呑に触れ、熱いなと感じると(知覚神経)、湯呑から手を離す(運動神経)、という感じですね。
ホムンクルスという、とても奇妙な人形です。
知覚神経がどのように分布しているか、その密度に従ってヒトの身体を再構築すると、この人形の形になります。知覚神経が多く走っているところを大きくし、少ない所を小さくして作った身体、という訳です。
片方の手だけで、頭よりも大きくなっています。
手は、身体の中で最も多く知覚神経が分布し、最も多くの知覚情報を脳に伝えている場所なのです。
この、手が知覚している情報について、私たちは日常殆ど無意識になっています。
手は、[考え]ないで[感じる]だけ、だからなのでしょうね。
[考える]ことに占領されている私たちの日常では、手の感覚はほぼ、反射運動になってしまっています。
手が[なにを感じているか?]に、しっかりと意識を向けて触れると、そこには、とても豊かな[感じる時間]が現われて来ます。温かい、冷たい、硬い、柔らかい、ざわめき、ピリピリ、拡がり、熱…その他、言葉で表現し切れない様々な感覚。
同時に、[考える]ことを止めて(左脳停止)、[感じる]ことで(右脳活動)、心も身体もどんどんくつろいでいきます。
[タッチを変えて、探索する]
クラニオの初歩のワークの中では、様々な触れ方を試して、どんな違いを感じるかを調べていきます。たとえば、
1)手指に力を入れて触れる/手指の力を抜いて触れる
2)皮膚に触れる/皮膚の内側の骨に触れるつもりで触れる/皮膚の外側のフィールドに触れるつもりで触れる
3)日常の意識で触れる/ニュートラルの状態で触れる
そこに現れる感覚の多様さ、深さには、眼を見張るものがあります。
(自分に触れたり、親しいヒトに触れることでも感じられるので、お気が向いたら試してみてくださいな。)
この探索の中から、[触れることの恵み]を実感し、セッションで実現させるのが、クラニオのタッチです。
クラニオを受けた方がよく言われる、「触れられている手を忘れて、温かさだけ感じた」「途中から施術者の手が消えていた」などのフィードバックは、このタッチから生まれて来ます。