YogaBodyコラム COLUMN

松本くらのコラム,コラム,ヨガと体のQ&A,講師紹介 2021.06.26

セラピストには何が必要か?

前回のコラム「松本くら 私がセラピストをしているワケ」に引き続き、
セラピストという職業に関して、もう少し私の考えをお伝えしてみますね。

[セラピストという人生]

セラピストって、職業なのかなあ、と考え込んでしまうことがあります。
職業というのは一般的には、自分の持っている技術を活かして、生活に必要な金銭を稼ぐこと、ですよね。
でも前回の自身の体験でも述べたように、セラピストは技術を活かすだけでは成立しない、と私は考えています。ヒトとヒトが密接に関わり合うことで成立するのがセラピーでありセッションだから、です。そこにはマニュアルやノウハウだけでは解決しない、「出会い」が必要です。(そのライブ感を大切にしたいので、私はセッションという言葉が好きです。)

「出会い」というのは、その時その場で発生するものなので、セラピストは「今の自分まるごと」でその場にいることが大切になってきます。まず自分がそうしないと、クライアントさんが自然体になって、その場を有りのまま楽しむことは、あり得ないからです。
まるごと、ですから、今までどんなふうに生きてきたか、今どう生きているか、人生観、死生観、人間観、全てどこかに現れますよね。言葉にすることはなくても、うなづき方や首のかしげ方、笑うポイント一つで、現れていきます。(それこそ、ポリヴェーガル理論の「腹側迷走神経の働き」ですね。)

これは、「だからセラピストは聖人君子じゃなくちゃね」という話ではありません。完全な人間などどこにもいないし、自分が完全になる必要もありません。「同じように人間、同じように命」として出会う、ということです。

ですから、セラピストという職業をする、というより、セラピストという人生を生きる、と考えた方が、ハラも決まるのでは、と思うのです。

[始まりはいつも自分]

クラニオセイクラルのセッションは、まず施術者がニュートラルの状態に入り、それをクライアントさんや、二人で作る場に拡げていくところから展開していきます。逆から言うと、ニュートラルの状態が自分から周りへと拡がっていかない限り、セッションは展開しない、と言うことです。
こういう、ある種特殊なセッションを自分に落とし込んでいく中で学んだのが、始まりは自分から•••という主体性です。
「クライアントさんに何かを提供しなくては!」という想いを離れて、「まず私が、この場を引き受けて、安心してこの場にいる状態」を作り出す、ということですね。

セラピストは、職業として分類すれば、サービス業ということになります。
サービス業だから、「お客様は神様です」という考え方もあるかと思います。でも、そうではなくて、敢えて言うなら「お客様を神様にするのは、私です」というのが、主体性をもった在り方だなあ、と考えます。
そこから始まっていくのが、セラピーやセッションでの「出会い」なのです。

この記事を書いた人

松本くら

1958年、横浜生まれ。東京大学文学部卒業。伊豆高原在住。

日本、インドで、ヨガを学び、大学卒業後、ボディワーク・呼吸法・断食・瞑想・アロマテラピー・エサレンボディワーク・クラニオセイクラル・機能解剖など、多方面から[健やかなからだ]へのアプローチを学ぶ。

日本のボディワーク界の草分けとして知られ
セッションハウス「リーラハウス」において個々の身体と向き合いながら
プロフェッショナル・ボディワーカーの学びの場、
伊豆高原「リーラスクール」を立ち上げ
全国から集まるボディワーカーやヨガインストラクターの育成をしている。

著書に、
[【休息のレシピ】~タメイキは最高のゼイタク HAPPYな毎日を送るための呼吸法~](BABジャパン)
[プレヨガで「あなたのヨガ」をはじめよう](BABジャパン)
[肩コリ解消六十四通り](ブルーロータスパブリッシング)
監訳書に、[ヨガボディ](ジュディス・ハンソン・ラサター著・chama共訳・ガイアブックス)がある。
エサレンボディワーク認定プラクティショナー/AIAHS認定アロマセラピスト/クラニオセイクラルバランシング認定プラクティショナー。
リーラハウスHP

 

日本での活動について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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