YogaBodyコラム COLUMN

松本くらのコラム,コラム,ヨガと体のQ&A 2020.05.19

クラニオセイクラルのタッチについて①

クラニオセイクラルでは、タッチはとても重要な要素です。

重要なので、1回では説明しきれないくらい。

まずは、[タッチ]自身が持つ力について、触れていきますね。

[皮膚と脳とタッチ]

[脳皮同根]という言葉があります。

受精卵はまず、[内胚葉][中胚葉][外胚葉]の3つに分化してから、身体のあらゆる組織・器官を作っていきます。

その過程で皮膚は、脳と脊髄という中枢神経系と同じ[外胚葉]から発生し、形成されます。

脳と皮膚は同じ起源を持つ、ということです。皮膚は、[第二の脳]とも言われます。

優しいタッチは、オキシトシンというホルモンを分泌させ、ノルアドレナリン系、セロトニン系の神経伝達物質を生成します。

オキシトシンは別名愛情ホルモン、他者との親密性を高め、炎症を静め、攻撃性を低下させる働きを持ちます。近年、自律神経にも良い影響を与えることが判ってきました。

ノルアドレナリン系、セロトニン系の神経伝達物質は、生成されると脳に送られ、鎮静と快感を脳に伝え、痛みを和らげます。

[タッチの安全と危険]

タッチの恵みはたくさんありますが、そこには危険もあります。

二者間の信頼関係がないところで生じるタッチは、生物にとっての危険信号なのです。

野良猫は、なかなか触らせてくれませんよね?

野良猫は生まれ落ちた瞬間から、タッチについての安全な記憶を持ちません。ですから、「敵かも知れない」と、自律神経が危険信号を発します。身を守るために、必要ですよね?

もちろん人間も、同じ自律神経反応をします。

[タッチ]の恵みに到達するには、まず

「お互い安全で、安心だね」という自律神経レベルの二者の同意が必要なのです。

これが、クラニオセイクラルの施術で[タッチ]までに確立する技、でもあります。

[安心を確認しながら、少しずつ近づいていく]

印象的なセッションがあります。

和やかにカウンセリングを終えて、ベッドに横たわっていただき、私自身の場所を一緒に決めていくと、ベッドの脚元からかなり遠い位置になりました。

それ以上近づくと、クライアントさんの身体はザワザワしてくるそうです。

私たちはその場所からセッションを始め、リソースを探索し、そのリソースがどんな身体反応を与えてくれるか、試し始めました。なんと1回目のセッションは、それに全時間を費やしました!

終了後クライアントさんは、幼い時に性的虐待を受けたことを、話してくださいました。

私たちは、クライアントさんの信頼できる身体反応を頼りに、3回を掛けて少しずつ距離を縮め、3回目の終了間際、お互いに安心した状態で、私はそっと彼女の踵に触れることができました。

「星の王子さま」の王子とキツネのように、少しずつ近づき、[いま・ここ]でお互いが安心して仲良くなれた時に、[タッチ]の恵みは展開し始めます。

この記事を書いた人

松本くら

1958年、横浜生まれ。東京大学文学部卒業。伊豆高原在住。

日本、インドで、ヨガを学び、大学卒業後、ボディワーク・呼吸法・断食・瞑想・アロマテラピー・エサレンボディワーク・クラニオセイクラル・機能解剖など、多方面から[健やかなからだ]へのアプローチを学ぶ。

日本のボディワーク界の草分けとして知られ
セッションハウス「リーラハウス」において個々の身体と向き合いながら
プロフェッショナル・ボディワーカーの学びの場、
伊豆高原「リーラスクール」を立ち上げ
全国から集まるボディワーカーやヨガインストラクターの育成をしている。

著書に、
[【休息のレシピ】~タメイキは最高のゼイタク HAPPYな毎日を送るための呼吸法~](BABジャパン)
[プレヨガで「あなたのヨガ」をはじめよう](BABジャパン)
[肩コリ解消六十四通り](ブルーロータスパブリッシング)
監訳書に、[ヨガボディ](ジュディス・ハンソン・ラサター著・chama共訳・ガイアブックス)がある。
エサレンボディワーク認定プラクティショナー/AIAHS認定アロマセラピスト/クラニオセイクラルバランシング認定プラクティショナー。
リーラハウスHP

 

日本での活動について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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