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コラム,ブログ,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学,質問 2018.07.22

ウジャイ呼吸とはどのようなものですか?

アシュタンガヨガを知っているでしょうか?シュリKパタビジョイス師によって確立された、決められたアーサナ、ポーズの連続からなるヨガの流派の1つです。
アシュタンガヨガを実践するとき行うのはウジャイ呼吸と呼ばれています。
すでに実践されている方はウジャイ呼吸の行い方の指導を受けているかと思います。
このウジャイ呼吸を身体の仕組み、解剖学的に考えてみたいと思います。

ウジャイ呼吸は勝利の呼吸とも呼ばれていれ、生命力を広げる呼吸法と考えられています。この呼吸法の特徴は音。喉の奥で音を発生させるように呼吸をしていきます。この音は何の音なのでしょう。

呼吸の通り道である気道の入り口には声帯と呼ばれる空間があり、そこに声門があります。
門、と言う名前のごとく、開け閉めすることで空気の通りをコントロールしています。
この門がしっかり締めることで私たちは発声しますし、深呼吸で息を吐こうとしている時は大きく開いています。

ウジャイ呼吸ではこの門を狭くすることで、呼吸そのものを伸ばし、空気が通る時の音を発生させています。
空気が通る時の摩擦音ですから、通る空気の量そのものが少なければ音は発生しても小さいものになるでしょう。
大きな音を出していくためには通る空気の量を増やす必要があり、それは深く長い呼吸をするということです。

深く長い呼吸を行うために積極的に活動していくのは2つの膜。ひとつは骨盤底の膜。もうひとつは横隔膜です。

横隔膜は胸とお腹の境目にあり、呼吸の主導筋です。横隔膜の動きによって空気の出入りが生まれています。
この横隔膜と連動するように動いているのが骨盤底の膜。
骨盤底には幾つかの筋肉が層になった膜があり、骨盤内の臓器を支えたり、排尿・排便のコントールなどの役割があります。

横隔膜を下げて息を吸い、上げて吐くというようなイメージがヨガの中でもよく行われることです。
このイメージを骨盤底でも行えるかどうか、は呼吸の深さに直接関わってくるでしょう。

そして胸郭の動きも同時に行っていきます。胸郭が大きく拡がり、そして縮小していくことで呼吸によって出入りする空気の量はより大きくなります。
胸郭の前後、左右、上下方向への動きを意識的に行いながらも、腹部の緊張が強すぎないことも重要です。

胸式呼吸、腹式呼吸という呼吸法の中では、お腹を薄く引っ込める意識を持つことがあります。
(胸式呼吸、腹式呼吸についてはこちらの記事を参照)

腹筋の一部は肋骨に付着していて、この部分を緊張させてしまえば肋骨、胸郭の動きを妨げ呼吸は浅くなってしまいます。
引っ込めるというよりは引き締める、とくにおへそより下の部分のみを引き締めること。
腹筋群の中の腹横筋の下部のみ緊張させることで、お腹の上部にある横隔膜は自由に動きやすくなります。

 

 

この腹部の引き締めにも、骨盤底への意識は関係してきます。
骨盤底への意識をどのように持つかというのは、締める、引き上げるなど様々な表現、感覚があります。
実際骨盤の膜は3層になっていて一番浅い膜はお尻の穴を占める筋肉も含まれますから、まず締める意識から始めるというのは1つの方法でしょう。

しかしそのままではなくその先があることも知っておくとより良いかと思います。
例えば締めるのではなく、膜の形が平らになる、フラットになるイメージ。
横隔膜でしたらドーム状、骨盤底でしたらハンモック状に丸みを帯びた形が平らになるということです。
練習を重ねていく中でさらに深い層への感覚を意識していくこともより呼吸を深くすることにつながるということです。

言葉にするほど簡単ではないかと思います。骨盤底の動きは目に見えるものではないですし、胸郭の動きも肩や背中に余計な力みがあれば妨げられてしまいますし、胸郭の動きそのものを大きく動かしていくことにも練習が必要です。
胸郭には脊柱も含まれますから脊柱の動きや腹横筋などの働きを感じていくためにもアーサナを実践することは大切ですね。

横隔膜と骨盤底、この2つの膜をはたらかせ深い呼吸を行い、そして最後の3つ目の膜とも言える声門で空気の通りをコントロールすることで、ウジャイ音が響いている、身体の仕組みとしてはこれがウジャイ呼吸と言えないでしょうか。

ウジャイ呼吸だけでなく、呼吸法のことをサンスクリットではプラーナヤーマといいます。
プラーナヤーマとは、プラーナ=生命エネルギーや生命力そのもの、アヤーマ=拡張する、伸ばすという2つの言葉からできています。

解剖学的な、物理構造として、感覚をより繊細に行う呼吸も重要ですがヨガにはその先があることを知っておくべくだと思います。
プラーナという生命力そのものを拡大させ、身体の隅々にまで拡げていくものがプラーナヤーマです。
単に長生きするというような生命力だけではなく、日々の生活をエネルギーに満たされたものにしていく、さらなる幸福な人生を過ごしていく技術とも言えそうです。

ウジャイ呼吸はその中でも難易度の高い呼吸法と言えるかもしれません。しかしできないから効果がないのではなく、自分の中で体得していく過程に呼吸にも解剖学的にも、プラーナという意味では様々な変化が起こっているものです。長い目で、その変化を見つめて行ってみてはいかがでしょうか?

では、安全で快適なヨガを!

桜井くみ

TOKYOYOGAティーチャー/ YogaBodyトレーニングコース開発・指導担当。
20年以上の鍼灸・整体の経験を生かし、2005年よりヨガ指導を行う。
ヨガ手帳のポーズ提案・監修者。 臨床分子栄養医学研究会 認定カウンセラー。
フリーランスの鍼灸・整体として活躍しながらも、高齢者の身体を知るためにケアマネージャーの資格を取得し、特別養護老人ホームで働いていたほどのカラダオタク。
判断、診断、治療ではない、「感じて、整える」有機的なヨガ解剖学を広めるためにYogaBodyトレーニングコース という全米ヨガアライアンス認定指導者養成コースを開発し、
ヨガの指導者を育成する。現在、神戸在住。夫もヨガティーチャーであり、一児の母。

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