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ブログ,コラム,ヨガ解剖学 2018.11.25

ヴィンヤサの秘訣 | Dr. Monica Gauciのコラム


ヴィンヤサでジャンプスルーする秘訣は、ジャンプする力ではなく、うまくブレーキを効かせ、制御する力です。
誰もがジャンプすることができますよね。ただ実際には、あなたがジャンプをした勢いを制御する力を持っていなければ、おそらくジャンプすること自体を躊躇するでしょう。
あなたの身体は、あなたがその強さを持っているか、持っていないかを本質的に知っており、あなたを守るためにあなたが意識してジャンプをしようとすることを妨げることさえあります。
幸運ですね、そして何て素晴らしいことだと思いませんか?

ジャンプしてから、全身が自分の手に向かって、勢いをつけて動いて行くところにブレーキをかける事ができるということは、その勢いを制御出来るだけの上半身の強さがあることを意味します。さらに、床に向かって体全体をを下ろしていくというトランジションをコントロールするためにはかなりの力が必要です。 私たちが立ち姿勢からから後屈しながら体の後ろ、床の方に手をつくように下に向かって行く時も同じ力が働いています。

理論的に言えば、この動きはあなたの体に十分な柔軟性があれば、重力の力も助けてくれているので比較的簡単にできるのです。
ただ、これがまさに問題なのです!
私たちは、この下に降りる動きの強さを制御しなければいけません。
私たちの体の前側にある筋肉は、私たちが一気に後ろに倒れないように一生懸命働いています。
後ろ側に後屈していくということは体を制御させる練習とも言えるでしょう。
同様に、あなたがスキーの仕方を学ぶときも同じようなことが言えます…あなたは雪でできた斜面の上に置いてある2本の金属の板の上に立っています…スキーの仕方を学ぶということは、ブレーキの使い方を学ぶことと言われても違和感はありませんよね。
そしてまったく同じように、ヴィンヤサをしてそのまま座る時に必要とされる力はブレーキをかけ、体を制御しながら転ばないようにするということなのです。
ジャンプしたら、重力に逆らう形で下がってくる体の動きをコントロールする必要があります。
また、重力に逆らって筋肉を働かせるには、より多くの努力と強さが必要です。

 

What It Takes 何が必要なのか

それでは、ヴィンヤサを通って私たちの体にブレーキを効かせ、コントロールしていくには何が必要だと思いますか?
このような複雑な動きの場合、個々の筋肉を分離して考え、どの筋肉がいつどのタイミングで何をするかを定義することはほとんど役に立ちません。
例えば、ジャンプするときは(顔が床に着地しないように)床を押しますよね、そこから肩の関節を伸ばし、ブレーキをかけるには、肩関節の動きを屈曲に変えなければならず、同時に肩の伸筋群を伸ばしながら収縮させて着地させる必要があります。
この一連の動きの情報は参考になるかもしれませんが、私たちが実際に動きをしているときにフォーカスしているものではありません。
もっと大事なのは、統合された動きを実践するために必要な力と制御の働きを理解し、実践していくことです。

ダウンドッグからジャンプアップする動きをコントロールするには、上半身の筋肉を強化する必要があります。
私は沢山のヨガ初心者グループを教えてきましたが、 初めてヴィンヤサをする時、だいたいの男性は比較的簡単に行うことができ、女性のほとんどは苦労します。
一般的に、女性に比べて男性の方が上半身の筋肉が強い傾向にあります。
ただ、女性だとしても例えば水泳、登山、体操など、上半身を使って多くの運動を普段からしている場合は別です。
これらの運動は、上半身の大きな筋肉、例えば広背筋、胸筋(大胸筋)および前鋸筋を発達させ、特に、上半身を体幹およびコアと統合させながら動かしていくことを教えてくれます。

 

Curling into a Ball ボールのように丸まる

ヴィンヤサをするもう一つの重要な側面は、自分の胴体を屈曲させボールに巻きつけるような形に曲げることができることです。
機能的に考えると、私たちの腹筋は上部と下部で別々に働く傾向があります。
例えば腹筋運動のシットアップをするように、上半身を起こしあげ手足の上の方に持ってくる動作では、腹筋上部が働いています。
そして、私たちの脚を胴体に向けて持ち上げると動作では下腹部が骨盤を安定させるように機能し、股関節屈筋群が効果的に働くようにします。
ヴィンヤサをするには腹筋の上部と下部の両方を強く一緒に働かせる必要があるので、胴をくぼめ、折り曲げつつも脚を持ち上げることができるのです。
もちろん、股関節屈筋群は、足を胸部にキープさせるため、強く働く必要があります。

 

The Path   道のり

あまり目立たないことかもしれないですが、ジャンプスルーから座っていくときの移行についてお話します。
1番目の写真ではグレゴール先生が彼の腰を高く上げているのが分かりますね。
ジャンプスルーするときは、自分がハーフハンドスタンドをするように小さな山をジャンプアップするような想像をする必要があります。体を低くしたまま移行するのは、あなたの腰がすでに床にとても近いという形になるので、重力を欺く(逆らう)ことは不可能になります。

ヴィンヤサの中の座り姿勢からのジャンプバックの部分は、自分が持っている体の強さや体の動きの統合能力のレベルをクリアにしてくれるでしょう。


Connecting the Dots
 点と点を繋げていく

強い上半身、腹筋、股関節屈筋群を持っているということだけでは十分ではありません。
最も重要なのは、私たちの手足を体のコアに組み込み、体全体をまとめて1つのものとして働かせることです。

上半身の強さを発達させ、腕、背骨、コアを結ぶ簡単な運動の1つに、何かに捕まり、腕を使ってぶら下がることがあります。
ぶら下がるという運動は、すべての重要な広背筋と僧帽筋下部を働かせることであり、アサナの練習ではこの動きを複製することは不可能に近いとされています。
この動きと、背骨及び胸腰部筋膜の関係性は深く、うまく働かせることで私たちの腕とコアを繋げてくれます。
あなたがぶら下がっている状態から体を持ち上げる力を持っていなくても、それに挑戦するかのように上半身を使います。
腹部と股関節屈筋を繋げて動かすためには、膝と脚を自分の手の方向に向けて持ち上げてみてください。
このパワフルな動作は間違いなくあなたのヴィンヤサを強化することでしょう!

ロラアサナ(真ん中のグレゴール先生の写真)は、床に体を触れることなくうまく体全体を統合して動かしていく力をつけていくためのもう一つの素晴らしい準備ポーズとも言えます。
肩を丸めてしまったり、前鋸筋の替わりに小胸筋を使わないように注意してください。
あなたが床に体が触れない形で「リフト」していない場合は、ヨガブロック上にを手に置いてみて、どんな感じか試してみてください。
この動きは、ジャンプバックするときに体を床からリフトさせるために特に役立つ動きです。座ってからチャタランガダンダアサナまたはプランクポーズへと移行する動きを練習してください。

ヴィンヤサの秘訣となるような、マジックトリックはありません。
ヴィンヤサの事実は、強さと体の動き方の調整を必要とすることです。
信じがたい事実としては、多くの生徒が「良い」ヴィンヤサをすることができないので、私たちのトレーニングに参加することを躊躇しているのです。
この考えは、生徒達がが身体能力=ヨガ能力と認識していることであり、悲しい事実です。
自然とアサナで自分の才能を発揮する人もいれば、それを達成するために熱心に練習に励む人もいますが、ヨガの道では真摯でオープンな気持ちで向き合う心とマインドが一番大事なことなのです。

いつもマットであなたと一緒に…

Hari OM ハリオーム(”私はあなたの中に存在する神性に挨拶する”)

Monica

日本語訳 Rolf  Marika

原文リンク:https://chintamaniyoga.com/asana/the-secret-of-vinyasas/

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この記事を書いた人

Dr. Monica Gauci
Dr.モニカ・ガウチは39年間ヨガを練習、研究している献身的なヨギであり、熱心な教育者です。
ヨガセラピストの認定を持ち、リハビリテーション医でありカイロプラクティック医でもあります。
パートナーのグレゴール・メーレとともにオーストラリアのパースで8Limbsを立ち上げ、
21年間指導した後、現在はオーストラリアを拠点に世界各地でトレーニングやワークショップで指導しています。
グレゴール・メーレの「アシュタンガヨーガ実践と探求」の執筆にも多くのサポートをしました。

https://chintamaniyoga.com/about-2/

 

 

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