YogaBodyコラム COLUMN

松本くらのコラム,コラム,ヨガと体のQ&A,講師紹介 2021.02.25

コロナ禍における生活の変化に役立つクラニオセイクラル①

またも編集部からタイムリーなお題をいただきました、感謝!
この一年、日常生活のスタイルは大きく変容しました。マスクの着用、人との距離の変化、オンラインでの出会いの増加。
それぞれに故あっての事ではありますが、一番気になり続けているのは、自律神経系への影響です。
自律神経系、内分泌系、免疫系は三つ巴の関係にありますから、自律神経系に影響が出れば、内分泌系、免疫系も影響を受けます。
その結果は、「何となく調子が悪い」「元気が出ない」「生き生きして過ごせない」「眠りが浅い」といったメンタルも巻き込んだ不調につながる可能性を持ちます。

[なぜ自律神経系?]

以前、[クラニオセイクラルとポリヴェーガル理論①]の中でお伝えしましたが、哺乳類(ですから人間も、ですね)の自律神経系は、
「安全・安心」を内外の環境から察知した時に、「腹側迷走神経系」という最も安定した状態に入ります。
逆から言えば、「安全・安心」が自律神経系にキャッチされないと、安定した自律神経系は働かない、ということです。

眼に見えないウィルスへの何とはなしの怯え、それを煽るようなこともあるマスコミの情報、他者とのコミュニケーションでそれを解消する機会の喪失、他者と触れ合うことへの微かな不安・・・これらは内にも外にも「安全・安心」をキャッチしにくい状況を産んでいます。
そして「不安や怯え」は、自律神経系を腹側迷走神経系から自動的に動かし、交感神経系や背側迷走神経系という不安定な状態に移行させます。すぐに戻って来られれば問題はないのですが、慢性化すると心身に影響を与える、少し厄介な状態です。

コロナ禍に入った後にセッションで出会うクライアントさんの全体性の中では、不思議なことに、脳幹の問題が挙がってくることが増えています。
これは実は、東日本大震災直後の一年にも多かったことです。脳幹は、腹側迷走神経系が発生する場所で、呼吸中枢もあります。このことにこだわる硬直性は持ちたくありませんが、ちょっと気になるのも事実です。

クラニオセイクラルの観点から観る時、自律神経系にどんなポジティブな働きかけができるだろう? それぞれの人が自身に日々、どうしたら「安全・安心」を提供できるだろう? そんなことを考えてみたくなります。

[まずは自身で緩むこと]

身体に意識を向けて、強張っているところや凝っているところを感じながら、そこと出会うようにゆっくり動かす。
呼吸に意識を向けて、浅いな、弱いなと感じたら、ため息をついたり、胸を緩めたりして、気持ちよく吐けるようにする。

どんな身体も、「眼を向けられて尊重され、大切にされている」と感じられると、存在自体として喜びます。
日常を覆い尽くしがちな「考え」から距離を取って、身体や呼吸に意識を向ける時間は、「感じる」時間でもあります。「今・ここ」に戻る時間でもあります。存在が全体性を味わう時間、とも言えるでしょう。

一日の中にそんな時間を散りばめることは、[安全・安心]への大きなサポートになるでしょう。
拙著[休息のレシピ]では、呼吸を深くする、日々の小さな工夫レシピをたくさん載せてあります。呼吸に意識を向けても深くはならないな、とお感じの方は、読んでみてくださいな。

[視界を拡げてみよう]

仕事もオンライン、人との出会いもオンライン、パソコンやスマホに向き合う時間が、否が応でも増えています。
それは、限られた画面に視界を固定させている時間でもあります。

そんな時間の合間に眼を画面から離して、ゆっくりと眼を回しながら少し眼をストレッチさせ、その後眼の力を抜いて、半眼でぼんやりと視界を拡げてみませんか? 何かに視野を固定させずに、ただ周りを映し出す[受け身の眼]を作ってみます。私にとってそれは、眼で世界と繋がっているだけの時間、でもあります。肩や首や頭が内側からホッとして、力が抜けます。眼を閉じてしまうより、ずっと豊かな時間ですよ。
こうして作り出される[今・ここ]も、私の[安全・安心]を養ってくれます。

書き始めたら、クラニオからの提案は、まだまだありそうです。次回もう少し深めてみますね!

この記事を書いた人

松本くら

1958年、横浜生まれ。東京大学文学部卒業。伊豆高原在住。

日本、インドで、ヨガを学び、大学卒業後、ボディワーク・呼吸法・断食・瞑想・アロマテラピー・エサレンボディワーク・クラニオセイクラル・機能解剖など、多方面から[健やかなからだ]へのアプローチを学ぶ。

日本のボディワーク界の草分けとして知られ
セッションハウス「リーラハウス」において個々の身体と向き合いながら
プロフェッショナル・ボディワーカーの学びの場、
伊豆高原「リーラスクール」を立ち上げ
全国から集まるボディワーカーやヨガインストラクターの育成をしている。

著書に、
[【休息のレシピ】~タメイキは最高のゼイタク HAPPYな毎日を送るための呼吸法~](BABジャパン)
[プレヨガで「あなたのヨガ」をはじめよう](BABジャパン)
[肩コリ解消六十四通り](ブルーロータスパブリッシング)
監訳書に、[ヨガボディ](ジュディス・ハンソン・ラサター著・chama共訳・ガイアブックス)がある。
エサレンボディワーク認定プラクティショナー/AIAHS認定アロマセラピスト/クラニオセイクラルバランシング認定プラクティショナー。
リーラハウスHP

 

日本での活動について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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