慢性的な肩こり・腰痛の根本改善に必要な「モーターコントロール」とは

モーターコントロールとは?慢性腰痛と身体の動かし方の関係を解説 ボディメイク・姿勢改善

「腰痛が続いていて、運動した方がいいと言われたけれど、どのように身体を動かせばいいかわからない」

「筋トレをすると腰に力が入りすぎてしまう」

このようなときに知っておきたい考え方のひとつが、「モーターコントロール(運動制御)」です。

モーターコントロールとは、身体を動かすときに、神経系と筋肉が協調して動作を調整する仕組みを指します。

結論からいうと、慢性非特異的腰痛では、身体の動かし方や体幹筋のコントロールに着目した運動が、痛みや機能障害の改善につながる可能性があります。

ただし、慢性腰痛の原因を「脳と筋肉の伝達エラー」だけで説明することはできず、モーターコントロールエクササイズが他の運動療法より常に優れているわけでもありません。

本記事では、モーターコントロールとは何か、慢性腰痛との関係、ピラティスとの共通点を初心者向けに解説します。

要点まとめ

  • モーターコントロール:身体を動かす際に、神経系と筋肉が協調して動きを調整する仕組み。
  • 慢性腰痛との関係:体幹筋の活動や動作のコントロールに着目した運動療法が研究されている。
  • 効果:慢性非特異的腰痛の痛みや機能障害を改善する可能性があるが、他の運動療法より常に優れているとは言えない。
  • ピラティス:呼吸や姿勢、動作を意識しながら身体を動かすため、モーターコントロールと共通する要素がある。

モーターコントロールとは?

モーターコントロールとは、目的に合わせて身体の動きを調整する神経系と筋肉の働きを指します。

私たちが立つ、歩く、物を持つといった動作をするときは、複数の筋肉がそれぞれ独立して動いているわけではありません。

脳や脊髄などの神経系からの情報をもとに、複数の筋肉や関節が協調して動きます。

このような身体運動の調整を「モーターコントロール(Motor Control)」と呼びます。

運動療法でいうモーターコントロールエクササイズでは、体幹周囲の筋肉の活動や協調を意識しながら練習し、徐々に日常生活に近い動きへつなげていく方法が用いられます。

慢性腰痛とモーターコントロールの関係

慢性非特異的腰痛では、体幹筋の使い方や動作のコントロールに着目した運動療法が研究されています。

腰痛にはさまざまな原因があります。

骨折、感染症、腫瘍、神経の圧迫など原因を特定できる腰痛もある一方で、明確な原因を一つに絞れない「非特異的腰痛」もあります。

慢性非特異的腰痛に対しては、安静を続けるのではなく、状態に応じて身体活動や運動療法を取り入れることが検討されます。

モーターコントロールエクササイズも、その運動療法のひとつです。

2016年のCochraneレビューでは、慢性非特異的腰痛に対するモーターコントロールエクササイズは、最小限の介入と比較して痛みの軽減に役立つ可能性が示されています。

一方で、他の運動療法や徒手療法より臨床的に明確に優れているとは言えません。

そのため、「モーターコントロールだけが慢性腰痛を改善できる」と考えるのではなく、運動療法の選択肢のひとつとして捉えることが大切です。

モーターコントロールエクササイズでは何をする?

体幹筋をただ強くするのではなく、動作中に身体をどのようにコントロールするかを練習します。

体幹周囲の筋肉を意識して動く

モーターコントロールエクササイズでは、腹横筋や多裂筋などの深部筋を含む体幹筋の活動に着目することがあります。

ただし、「インナーマッスルだけを使い、アウターマッスルを使わない」という意味ではありません。

実際の身体運動では、深部筋と表層筋を含む複数の筋肉が協調して働きます。

最終的には、特定の筋肉だけを意識するのではなく、動作全体を適切にコントロールすることが重要です。

簡単な動きから徐々に複雑な動きへ進める

最初は仰向けや四つ這いなど比較的安定した姿勢で身体を動かし、慣れてきたら立位や日常動作に近い課題へ進める場合があります。

モーターコントロールエクササイズの特徴は、単に筋力を高めることだけではなく、

  • 身体の位置を意識する
  • 不要な力みを減らす
  • 複数の筋肉を協調させる
  • 動作を徐々に複雑にする

といった点にあります。

モーターコントロールエクササイズは慢性腰痛に効果がある?

慢性非特異的腰痛の痛みや機能障害を改善する可能性がありますが、効果の大きさには注意が必要です。

2023年のシステマティックレビュー・メタ解析では、慢性非特異的腰痛患者1,356人を含む18研究が検討されました。

その結果、モーターコントロールエクササイズには、痛みや機能障害を軽減する効果を支持する中等度のエビデンスが示されました。

ただし、研究者は効果の大きさについて慎重に解釈する必要があるとしています。

また、2016年のCochraneレビューでは、他の運動療法や徒手療法と比較して、モーターコントロールエクササイズが臨床的に明確に優れているとは確認されませんでした。

したがって、

  • ウォーキング
  • 筋力トレーニング
  • ヨガ
  • ピラティス
  • モーターコントロールエクササイズ

などの中から、本人の状態や好み、継続しやすさに合わせて運動を選ぶことが重要です。

一般的な筋トレとモーターコントロールの違い

筋力を高めることと、身体の動かし方を練習することは目的が少し異なります。

比較項目 一般的な筋力トレーニング モーターコントロールエクササイズ
主な目的 筋力・筋持久力などを高める 身体の動きや筋肉の協調を練習する
意識する点 負荷、回数、筋力など 姿勢、動作、タイミング、協調など
慢性腰痛 状態に合わせた運動療法として用いられることがある 運動療法の選択肢のひとつとして研究されている

どちらかが優れているという意味ではありません。

筋力を高める運動と、動作のコントロールを練習する運動を組み合わせる場合もあります。

ピラティスとモーターコントロールの共通点

ピラティスには、呼吸・姿勢・動作を意識して身体をコントロールするという共通点があります。

ピラティスでは、呼吸に合わせながら身体を動かし、動作中の姿勢や身体の位置を意識します。

この点は、モーターコントロールエクササイズの考え方と共通する部分があります。

慢性非特異的腰痛を対象にした研究では、ピラティスによって痛みや機能障害が改善した報告があります。

ただし、ピラティスだけが他の運動療法より優れているとは言えません。

2023年のシステマティックレビュー・メタ解析でも、慢性非特異的腰痛に対して、ある種類の運動を他の運動より優先すべきという強いエビデンスはないとされています。

そのため、ピラティスを「慢性腰痛を治す方法」と考えるのではなく、身体を動かす運動の選択肢のひとつとして考えるとよいでしょう。

マットピラティスとマシンピラティスはどちらがいい?

モーターコントロールを意識した運動はマットでもマシンでも可能で、初心者だから必ずマシンが必要とは限りません。

マットピラティスでは、自分の体重を利用しながら姿勢や動きを確認します。

マシンピラティスでは、スプリングなどを使って負荷や動きを調整できます。

体が硬いことが気になる方は、体が硬い初心者とマシンピラティスについて解説した記事も参考にしてください。

また、細かく動きを確認してもらいたい場合は、プライベートとグループレッスンの違いも確認しておくとよいでしょう。

慢性腰痛がある場合に運動するときの注意点

慢性腰痛でも運動が役立つ場合がありますが、すべての腰痛を自己判断で運動してよいわけではありません。

腰痛にはさまざまな原因があります。

特に、

  • 強いしびれや筋力低下がある
  • 排尿・排便に異常がある
  • 発熱を伴う
  • 転倒や事故の後から強く痛む
  • 痛みが急激に悪化している

などの場合は、運動を始める前に医療機関へ相談してください。

長期間腰痛が続いている場合も、自己判断で運動内容を決めるのではなく、必要に応じて医療機関へ相談し、自分に合った方法を検討することが大切です。

モーターコントロールに関するよくある質問

モーターコントロールは特別な能力ではなく、身体を動かすときに誰もが使っている仕組みです。

Q1. モーターコントロールが悪いと必ず腰痛になりますか?

いいえ。

腰痛には多くの要因が関係するため、モーターコントロールだけで原因を説明することはできません。

身体的要因だけでなく、睡眠、ストレス、仕事や生活環境などが関係する場合もあります。

Q2. インナーマッスルを鍛えれば腰痛は治りますか?

一律には言えません。

腹横筋や多裂筋などの深部筋は体幹の安定に関係しますが、身体は複数の筋肉を協調させて動きます。

特定の筋肉だけを鍛えれば腰痛が治るという単純なものではありません。

Q3. 一般的な筋トレは腰痛に悪いですか?

一般的な筋力トレーニングが腰痛に悪いとは限りません。

慢性腰痛ではさまざまな運動療法が研究されており、本人の状態に合わせて適切に行うことが重要です。

痛みが強い場合は、負荷やフォームについて医療専門職や運動指導者へ相談しましょう。

Q4. マッサージよりモーターコントロールエクササイズの方がいいですか?

一律にどちらが優れているとは言えません。

2016年のCochraneレビューでは、モーターコントロールエクササイズと徒手療法の間に臨床的に重要な差は確認されませんでした。

自分の状態や目的に応じて選択することが大切です。

Q5. モーターコントロールは何回練習すれば身につきますか?

「何回で身につく」という共通の基準はありません。

変化のスピードは、運動経験、症状、練習内容、頻度などによって異なります。

ピラティスに通う頻度については、ピラティスは週何回?効果を感じるまでの期間と週1回・週2回の違いも参考にしてください。

まとめ|モーターコントロールは慢性腰痛に対する運動療法の考え方のひとつ

モーターコントロールは、筋力だけでなく身体の動きや筋肉の協調に注目する考え方です。

  • モーターコントロールとは、神経系と筋肉が協調して身体を動かす仕組み。
  • 慢性非特異的腰痛では、モーターコントロールエクササイズが痛みや機能障害を改善する可能性がある。
  • 他の運動療法や徒手療法より常に優れているとは言えない。
  • 深部筋だけでなく、複数の筋肉を協調して使うことが重要。
  • ピラティスにも、姿勢や動作を意識して身体を動かす共通点がある。
  • 腰痛の原因は一つではないため、強い症状がある場合は医療機関へ相談する。

ピラティスを試してみたい場合は、レッスン内容だけでなく、初心者にも説明がわかりやすいか、無理なく身体を動かせるかを体験時に確認しましょう。

▶ ピラティス体験レッスンに行く前のチェックポイント

マシンピラティススタジオの料金や口コミを比較したい方は、ピラティス口コミナビ+も参考にしてください。


【本記事の作成にあたって参考にしたサイト】

※本記事は一般的な運動・健康情報を提供するもので、診断や治療を目的としたものではありません。腰痛の原因や適切な運動内容は個人によって異なります。強い痛み・しびれ・筋力低下などがある場合や症状が続く場合は、医療機関へ相談してください。