YogaBodyコラム COLUMN

ブログ,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学 2016.06.13

過伸展って何?

ヨガをしている時にインストラクターから「過伸展だから気をつけるように」というようなアドバイスを受けたことはありますか?

ヨガだけでなく、スポーツの現場でも同じようなことを言われることがあります。言葉は聞いたことあるし、何だかあまり良くないようなことなのはわかるけれども実際それがどういう状態なのかあまり知られていません。

この過伸展とは一体何なのでしょうか?

人間には約200個の骨があります。その骨と骨がつながっているところが関節です。関節があるおかげで私達の体はいろんな動きができるようになっています。そして関節を作る骨と骨のつなぎ目、向き合っている骨の先端の形によってその関節の動くことができる方向が変わってきます。

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例えば骨の先端同士がボールとその受け皿のように、凹凸の形をしていればぐるぐる回すことのできる関節になります。同じ凹凸でもその形が楕円形であれば、縦と横の2つの方向には動かすことができますがぐるぐると回すことはできません。関節の動く方向は骨の形によって決まっているのです。

骨が向き合っている面は軟骨に覆われていて摩擦から守られ、関節も外から関節包(かんせつほう)と呼ばれる膜で包まれています。その関節包の外から骨と骨をつなぎとめしっかりと補強してくれているのが靭帯です。

wikipediaより

wikipediaより

 

関節の中には、関節包の中でも靭帯によって骨と骨をつなぎとめているものもあります。靭帯は硬い組織でできておりとて頑丈ですが筋肉のよう伸び縮みは苦手な構造になっていて、関節の動きの範囲は関節の周囲にある関節包や靭帯がどれほど硬く固めているか、で変わってきます。

そしてそれぞれの関節が関節包や靭帯が傷つくことなく動ける範囲を関節可動域と呼んでいます。関節可動域の中で関節を動かすことは怪我なく安全に体を動かす、ということにもつながってきます。

しかし中には何もしなくてもこの関節可動域以上に関節が動かすことができる人がいます。特に関節を伸ばす動き、伸展という動きをする時に関節可動域以上に動くことを過伸展と呼びます。要するに、伸び過ぎの状態です。

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http://xn--o9jl141yhfao8fvzcs9xell7uq252c.com/mukumi.htmlより

 

生まれつきの方もいますし、日頃の姿勢など原因は様々ですが、関節周囲の組織の柔軟性が高いことから過伸展という状態がうまれます。本来の関節可動域以上に伸ばすことを続ければ、靭帯や関節包は正常な範囲を超えて伸び、痛みや怪我の原因となってしまいます。関節周囲の組織に負担をかけないためには、伸び過ぎない、ことが需要です。

過伸展、という状態はどこにでも起こりうることですが、特に膝に多く、反張膝(はんちょうひざ)という名前もあるくらいです。名前の通り膝が後ろに反ってしまう状態のことをいいます。

ダンダーサナのような長座の姿勢で膝をしっかりと伸ばそうとすると踵が床から大きく浮いたり、膝を伸ばして立った時、横から見ると膝が後ろへくの字に沿っていれば過伸展といえます。

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ダンダーサナ

 

過伸展の状態で立っているだけでも負担は大きいですが、特にウッティッタトリコーナーサナやパールシュヴォッタナーサナの前足のように、膝を伸ばして立ちながらより片足に体重が乗りやすい時はより注意が必要です。前足だけでなく後ろ足にもしっかりと体重を乗せる意識も持ちながら、膝を少し曲げた位置で保つことが必要です。

ウッティッタトリコーナーサナ

ウッティッタトリコーナーサナ

パールシュヴォッタナーサナ

パールシュヴォッタナーサナ

 

過伸展の状態まで伸ばせる方にとっては、伸ばしきらない位置で膝を留める感覚はあまり気持ちよくなかったり、辛く感じる方がほとんどだと思います。例えば空気椅子の姿勢を思い浮かべ見てください。椅子がないのに椅子があるように膝を曲げ、体を中途半端な姿勢に保つのは膝を完全に伸ばしきっている姿勢よりも辛く感じます。膝を伸ばし過ぎない位置で留める筋肉の強さを身に着けていくことが膝の関節や関節周囲の組織を守る助けになります。それは時間をかけて少しずつ身についていく力です。

過伸展の状態にはなくても、関節を伸ばそうと少し力が入ってしまっている人は多く見られます。例えば立っている時に膝のお皿を後ろに押しこむように、そして座っている時に膝のお皿を床へと押し付けるような意識をしていたら、それは少し伸ばそうと力が強いかもしれません。その力を緩めることからはじめてみることをおすすめします。思いの外力んでいることに気づくことができるかもしれません。

関節を伸ばそうとする力をどの程度緩めればいいのか、どの位関節を曲げればいいのかわからない時は、遠慮無くそのクラスのインストラクターに声をかけてみてください。

自分の体の中の関節を安全に動かせる位置を探しながら、ヨガのポーズを味わってみてくださいね。

それでは、安全で快適なヨガを!

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