ブログ,コラム,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学 2018.03.19
風邪をひいていてもヨガをしていいのでしょうか?
この冬は記録的な寒さが続き、インフルエンザの流行も続いています。
日頃から気をつけていても風邪を引いてしまったという方も多いのではないでしょうか?
インフルエンザは寒い季節がピークですが風邪となると、原因は様々ですが年間通していつでも起こりえます。
風邪の時、ヨガをしていますか?していませんか?
身体の機能から考えてみましょう。
風邪とは、普通感冒といって、喉の痛みやくしゃみ、鼻水、頭痛やだるさなどから始まり咳や発熱、吐き気や下痢などの胃腸症状が現れることもあります。
どんな症状が強くでるかは原因となるウィルスによってことなってくるでしょう。
喉の痛みや鼻水がでると、風邪をひいてしまったかな、と感じられる方が多いでしょう。
ウィルスの多くは鼻や喉から侵入してきますから、この部位での免疫反応から炎症症状が起こって初めて気付くのが普通です。
免疫反応は全身に影響しますから、この時点で身体のだるさや微熱がでる方もいます。
風邪のひき始めに運動したり汗をかくと早く治る、とういうようなことを聞いたことはないでしょうか?
確かにこれには一理あります。
身体を動かすことで体温をあげ、体内の免疫細胞のはたらきやすい環境をつくることができます。
また発汗することで解熱作用も期待できます。
しかしいずれも風邪の初期でなければむしろ体内の免疫細胞のはたらきを妨害するだけでなく体温上昇を悪化させ体力を消耗し、回復期間が長引いてしまうでしょう。
風邪の初期ならば、ヨガを行うことも回復を早める助けになると思います。
この時のヨガは必ずしもアーサナを行うことだけではなく、呼吸法だけでも十分かもしれません。
呼吸法を行うだけでも体温は緩やかにあがりますし、何より風邪の初期に機能低下している呼吸器系のはたらきを助けてくれます。
伝統的なヨガの呼吸法の中には呼吸器系の浄化の効果があると言われているものもあります。
これは先人たちが経験的に体得してきた結果ですから、風邪の初期症状に効果的である可能性は高くあります。
しかし、風邪症状が進んでいる時期は、やはり安静も重要です。
仮にスタジオに行ったこと出会う周囲の人への感染も気になるところです。
むしろヨガは風邪をひかない肉体をつくる、そして風邪をひいてしまったらその回復を助ける、という方が適しているのではないでしょうか?
免疫力とは目に見えませんが体内に確かに存在する細胞、身体のシステムです。
このシステムを正常にしていれるのは日々の生活、食事、精神状態にあります。
例えば免疫細胞の約7割は腸にあるといわれています。
ヨガのアーサナで適度に内臓、腸を動かすこと、そしてリラックス・リフレッシュする時間を持つことで自律神経の働きを調整することは腸内環境をよりよく保つことにつながります。
ヨガを行う時間をもつ、その余裕があるということは、食事にも目を向ける余裕を持てるということにもなるでしょう。
その余裕がなければ食事も偏りがちですし、ただ食べる、お腹を満たすだけの食事の多くは腸内環境に良い影響はなく、消化力を妨げさらに腸内環境が乱れるといった悪循環を生みがちです。
そして何よりそのストレス環境は体内の副腎を刺激し分泌されるコルチゾールによって免疫機能の低下につながります。
これが慢性化すればコルチゾールによる免疫機能のコントロールが十分に行えず、
炎症反応が過剰に出やすくなりいつも風邪っぽい、すぐ風邪をひく、というような状態にもなってしまいます。
ヨガは骨や関節、筋肉という目に見える肉体だけではなく目に見えない細胞のはたらき、免疫や神経系、内分泌系といった生命活動そのものを支えるシステムにまで働きかけます。
疲れがたまっていたりストレスを感じている時、また風邪をひいてしまってからの回復期に、このシステムを助けてあげることは心身の健康に大きな助けになるでしょう。
例えばリストラティブヨガのようにリラックスすることで、副腎からのコルチゾールの分泌の正常化や胃腸の機能を助けることで結果的に免疫機能を助け、
風邪からの回復、そして風邪の予防にもつながるでしょう。
どこまでは風邪の初期なのか、というのは各自の判断であって、その判断そのものが難しいこともあるでしょう。
そこには少しの経験が必要かもしれません。ちょっと風邪をひいたかな、というときはまずご自宅で、
呼吸法やゆったりとしたポーズを行って楽になるか、と試してみるのもいいかもしれません。
そして何よりヨガをしようという気が起こるか、ということが何よりの身体からのサインかもしれませんね。
ちょっと調子が悪いからこそそういうサインも敏感に感じられるかもしれません。
身体の声に耳を傾けて素直に判断してみてくださいね。
それでは、安全で快適なヨガを!
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