松本くらのコラム,コラム,ヨガと体のQ&A,講師紹介 2021.05.26
松本くら 私がセラピストをしているワケ
2021年9月にTOKYOYOGAのオンライン講座で、新たに、セラピストの人たちに向けた講座を始めます。
【オンライン】松本くら ボディワーカートレーニング「ニュートラルとタッチ」
それに合わせて、「セラピスト」という職業のことを、少し考えてみたいと思います。まずは、私自身の体験を振り返ってみますね。
[自身の体験が学びの始まり]
30代の時に初めて、アロマのオイルトリートメントを受けました。
既に伊豆高原に移り住んでいたので、東京までの一日旅です。
身体が心地良く緩んだ状態で、帰りの踊り子号に乗ったのを覚えています。
ぼんやり景色を眺めていたら、身体の奥からモゴモゴっと、怒りの感情が湧き出てきました。怒る原因もない、突然の出来事でしたから「あれあれ、ナンダ、コレ?」と当惑しました。すると続いて、半年前のあるシーンが頭の中にフラッシュバックしてきたのです。その時出会っていた目上の友人との会話の中で、私がムッとした場面でした。言い返したいと思ったのに、言葉を飲んで笑い飛ばしている私が見えました。「あらま! 本当はまだ怒っていたのね」と自分に気づくと共に、「身体がリラックスした状態だと、感情が蘇りやすくなるのだなあ」と、かなり驚きました。身体と心の絡み合いを実体験した、初めての瞬間です。
「次はどんな体験になるのだろう?」と面白くなって、いろんな方に受けるようになり、そのまま自分でもやってみたくなって、アロマセラピーを学び、施術方法を学び、ご縁の重なりで知り合いのサロンで施術をするようになりました。
さらに納得のいくアプローチを、とエサレン研究所で学び直し、今に続く仕事になっています。
クラニオセイクラルの施術を初めて受けたのも、30代です。これも誠に面白い体験でした。
ただ仰向けに寝て、そっと触れられているだけなのに、身体全体が緩んでいった時、膝が勝手に自律運動を始めました。
いわゆる「膝が笑う」という動きです。止めようと思えば止められるのですが、何だか身体がやりたいことを表現している気がして、味わいました。「今までずっと膝に力を入れて、動いてきたのだなあ。膝がもっとラクに使って、と言っている」、そんな気がしました。自分の身体の、気づかないメッセージに出会えた感覚に、ワクワクしました。これまた何度も受けるようになり、そのカラクリが判りたくて学ぶようになり、学ぶ中で更に様々な身体体験が積み重なって、今に至ります。
自分が体験した身体や心との面白い出会いを、他のヒトとも分かち合いたい、
一緒に驚いたり感動したりしたい、というのが、私のセラピストとしての原点なのだと思います。
[出会い方の探求]
学び終わるまでは良かったのですが、実際にお金をいただく仕事にシフトすると、独り立ちせねばなりません。
「ここが違うよ」と言ってくれる先生は、もうその場にはいないのです。
「これで良いのだろうか」と、やっている時に迷いは生じるし、終わるとグッタリ疲れます。しかも、当たり前ですが、誰もが毎回、私が受けた時と同じ体験をする訳ではないのです。多くの方に触れさせていただくことが学び、という時期が長く続きました。と同時に、自分の身体を良い状態に保っておくこと(これには、本当にヨガが役立ちました)、施術を受けたり、学び続けることで、自身の体験の新鮮さを保つことも必要でした。
そんな模索の中で最初に発見したのは、「先に好きになる」というヒトとの出会い方です。初めて施術を受けにいらした方の、大好きなところを見つける、という方法です。「笑うと可愛い」「声と話し方が落ち着いていて、ステキ」「緩むと子供の時の無邪気な面影が出てくる」などなど・・・たった一つで良いので見つけます。そうすると、出会っていることが嬉しくなり、自分の内側がリラックスして、自然な出会いへと変化します。セッションの中でも不必要な緊張が除かれて、心の迷いも少なくなりました。
それは同時に、「セラピストの仕事というのは、技術だけではなく、出会いの中にあるのだ」という発見でした。
特にクラニオセイクラルの施術は、「どのように出会っていくか」に大きく左右されます。
自律神経が関わってくることが多いセッションですから、当然ですよね。自分との出会い方、ヒトとの出会い方を探求していくことが、次のテーマになりました。この探求は奥が深くて、今でもずっと続いています。
その一端をお伝えすることができれば、というのが、実は、今回の講座への願いでもあります。