ブログ,コラム,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学 2018.01.22
ベジタリアンの方が身体が柔らかくなりますか?
ヨガをしているとベジタリアンの方に多く出会いますね。
動物性のものは一切食べない、身につけないというヴィーガンの方や乳製品と卵は食べる、魚だけは食べるなど様々な形はありますが肉は食べないということは共通しています。
健康のためというだけでなく宗教、思想上の理由など人それぞれだと思います。
ヨガのアーサナの実践を続けている方の中に食事によって体の動き、柔軟性に違いを感じた経験はありませんか?
よくお肉を食べた次の日は体が重く感じる、というような話も聞きます。
体の柔軟性を高めるためにはベジタリアンでなくてはいけないのでしょうか?
今回は身体の仕組み、肉体の生理解剖学的な面から食事と体の柔軟性について考えてみたいと思います。
体の柔らかさを感じるのはどういう時でしょうか?ヨガのアーサナをしていて、関節の動きや筋肉の伸びを感じるときでしょうか?
関節とは2つ以上の骨のつなぎ目です。
骨はとても敏感なのでつなぎ目の部分、骨の関節面は直接触れ合わないよう表面には軟骨があったり、
関節そのものも関節包(かんせつほう)という袋で包まれ、袋の中は滑液(かつえき)という液体で満たされています。
これらすべてに硬い骨同士が向き合っている関節の動きが滑らかになるために重要な役割があります。
そして関節を構成する骨は靭帯でつながれ、関節をまたぐ筋肉の伸び縮みによって関節の動きがうまれます。
この軟骨や滑液とは一体なんなのでしょう?
これらを作っているのはヒアルロン酸やコラーゲンなどから作られていますがこれらの名前は聞いたことがある方が多いのではないでしょうか?
特に女性は美肌に必要な栄養、というイメージがあるかもしれません。
体の表面だけでなく体の内側の組織を作るためにも必要な栄養です。
ヒアルロン酸は体内でたんぱく質とくっついてますしコラーゲンはたんぱく質のひとつ。
そして筋肉の材料もたんぱく質。
ベジタリアンであってもなくても十分なたんぱく質を摂ることは体の柔軟性を保つためには必要ということですね。
ではお肉を食べると体が重いというのはどういう状態なのでしょう?
考えられることの一つは消化能力。お肉だけでなくたんぱく質を消化するためには十分な胃酸の分泌が必要です。
日本人は胃酸の分泌が少ないといわれています。
海外に行ってステーキの大きさにびっくり。。。っていう経験はありませんか?
とてもあの量は食べれませんよね。
お肉を食べても消化ができなければ未消化物として胃内に停滞する時間が増えたり、未消化の状態で腸内に入れば発酵し悪玉菌が増え腸内環境を荒らす原因になります。
内臓器の状態は身体感覚としてダイレクトに感じます。
そして例えばコラーゲンを含む食品を食べるとすぐ体内のコラーゲンとして使うことができるかといえばそうではありません。
たんぱく質は消化されアミノ酸として吸収されまた再合成されるという過程が必要です。
コラーゲンの合成にはビタミンCも必要ですからたんぱく質の消化はもちろん、それだけ食べていればいいというわけではありませんね。
そして食べ物から得られるアミノ酸だけでなく人間の体の中では日々、同化と異化というアミノ酸の分解と再合成が常に行われています。
その体の中で行われているサイクルを保つためにも動くということは重要です。
そして体を動かすということは体内のアミノ酸の生合成だけでなく関節内部の滑らかな動き、関節外部の筋肉の伸び縮みを高めていく必要なことです。
高めていくためにはその動きを継続的に続けること。体を動かし関節に刺激が入ることで滑液の分泌も促されますし、筋肉は動かすことで筋力や柔軟性を維持することができます。
継続は力なりといいますが、短い時間であっても長く続けるということは体の外部だけでなく内部に大きな影響力がありそうです。
食事と体の柔軟性という意味では、ベジタリアンでなければ柔らかくならないということではなく、ちゃんと消化できる消化力を身につける、
上手に消化できる食べ方を工夫する、ということで体の感覚はかなり変化があるのではないかと思います。
そしてたんぱく質から軟骨や滑液、靭帯や筋肉を十分につくり、柔軟性のある状態に保つためにはマグネシウムや亜鉛、ビタミンB群などの栄養も必要です。
バランスの良い食事といいますが口で言うほど簡単ではないですね。
食に関する情報はたくさんありますから、まず今自分が口にしているものを見直してみるということから始めてみてはいかがでしょうか?
それでは、安全で快適なヨガを!
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