ブログ,コラム,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学 2018.03.07
後屈のポーズが苦手です。どうしたらできるようになりますか?
ヨガのアーサナ、ポーズには前屈や後屈、ねじり、逆転といった様々な動きがあります。
前屈が苦手、という方と同じくらい、後屈が苦手という方も多く聞かれますがみなさんは後屈のポーズはお好きでしょうか?
後屈のポーズと一言で言っても様々な姿勢で行うものがヨガのアーサナにはあります。
この後屈という動きを身体の仕組み、解剖学的に考えてみたいと思います。
後屈とは要するに身体を後ろに反らす動きです。
日常生活では基本的に前かがみになる姿勢が多いですから、それとは反対の後ろに反る、曲げる動きは苦手という方も多くて当然かもしれません。
後ろに反る、曲がっているのはどこが動いているのでしょうか?
後屈の時に大きく動いている部位の一つは背骨です。
身体の中心にあって柱として支えてくれている背骨、解剖学の言葉でいえば脊柱は小さな骨が関節で連なってできています。
その脊柱そのものも元々カーブを描いていて、このカーブを弯曲とも呼んでいます。
脊柱が弯曲していることで、私たちは身体を安定させながらも自由に上半身を動かすことができるようになっています。
脊柱の一つ一つの関節の動きの中にも各部位によって特徴があり、構造的に向き不向きの動きがありますし、日常動作では限られた動きしか行っていないことも多くあります。
脊柱の構造的に得意でない動きやいつも動かさない方向へは動きにくいと感じると思います。
例えば脊柱は首から腰、骨盤までつながっていますが、とくに首や腰の部分は前後の動きが得意な形状をしています。
しかし普段から腰を丸めた姿勢をしている人には後ろに曲げる動きはつらい、と感じても不思議はないですよね?
そして脊柱のうちの真ん中あたりの胸椎と呼ばれる部分は腰椎に比べると後ろへの動きは得意ではない形状をしています。
胸椎には背中だけでなく腕の動きにもかかわる筋肉も多くついていますので、普段から背中をあまり動かさない、
肩こりや腕に負担をかかる作業をしている人は背中、胸椎の動きは苦手かもしれません。
そして胸椎には肋骨が着き、胸骨とともに胸郭という呼吸運動を担う部位を構成しています。
日々の生活の中でストレスを感じやすい環境にいる人は、呼吸が浅くなりやすくこの胸郭の動きも制限され、
結果的に胸椎そのものの動きも制限されてしまうことも珍しくありません。
ご自分の背中の真ん中にある骨、胸椎に意識をおいてその動きを感じ取ることができるでしょうか?難しくはありませんか?
それほど、普段の生活の中ではあまり意識的に動かしていない部位を、後屈では大きく動かそうとしますので難しく感じても当然なのかもしれませんね。
しかし他の関節と同じように、その部位を感じ、動かす意識を持っていくことで少しずつ感覚も高まり、動きやすくなってくると思います。
そして脊柱の後ろへ動く時は後ろ側、背中側の筋肉は短くなり、前側、お腹側の筋肉は伸びてくれなければ後ろへ曲がることはできません。
このお腹側の伸びを意識することも脊柱の動きを助けてくれるかもしれません。
この前側の伸びとともに後屈の動きの時に動いている部位の2つ目が股関節。
骨盤と大腿骨という太ももの骨でできた、足の付け根にあたる関節です。
どのような姿勢で後屈を行うかにもよりますが、一般的に後屈の時にはこの股関節も大きく後ろに曲がっています。
後ろに曲がるためには後ろが短くなり、前側が伸びるというのは脊柱と同じこと。
股関節も普段の生活の中では前側に曲げていることが多い部位ですので、後ろに曲げることは苦手に感じる方が多いでしょう。
お腹や足の前側の筋肉の強い男性は特に苦手と感じる方が多いように思います。
股関節の動きを感じ、伸ばしている部位も意識しながら丁寧に行っていくことも重要です。
普段行わない動きですから急に力を入れて行えば怪我につながってしまうかもしれません。
特に後屈しながら身体の重さもかかるようでしたら、脊柱にも大きな負担がかかります。
脊柱への負担を減らすためには呼吸を止めないこと。呼吸によってはたらく脊柱周囲の筋肉の働きによって脊柱を守ってくれます。
普段とは違う動きをすることで、関節の可動域、柔軟性や強さを身につけ今よりももっと快適な肉体を手に入れられるはずです。
でもそこには過程があります。最初は深い後屈を必要とするアーサナは難しくできないかもしれません。
でもそのアーサナに必要な動きを丁寧に感じて少しずつ行うことで徐々にそのアーサナに近づいてくれるでしょう。
それまでは少し軽いアーサナを選んだり、ブロックやボルスターといったプロップスを用いる方法もたくさんあります。
自分の身体の中のどの部位の動きを意識して行えばいいのか、どのような順序で練習していけばいいのか、
そのクラスのインストラクターに相談しながら、徐々にステップアップしてみてくださいね。
それでは、安全で快適なヨガを!
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