ブログ,コラム,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学 2017.10.30
ウッティッタハスタパータングシュターサナで足が上がらないのはなぜですか?
ヨガのポーズ、アーサナの中には片足で立って行うポーズが幾つかあります。
その中のひとつ、ウッティッタハスタパータングシュターサナというアーサナを行ったことはあるでしょうか?
片手で足の親指をつかんで、もう片方の足で立つポーズです。とても難しいアーサナのひとつですね。
ウッティタハスタパータングシュターサナの中にも幾つかの動きがありますが、どの動きの中でも片方の足を高く持ち上げなければなりません。
これが難しくてなかなかできない。。。という方は多いのではないでしょうか?
そうやったら足が高く上がるのでしょうか。体の仕組み、解剖学的に考えてみましょう。
足をあげる、とは体のどこが動いているのでしょうか?
足をあげるときは足のてっぺんにある関節、股関節の動きが必要です。
股関節は骨盤にある凹み、寛骨臼(かんこつきゅう)と太ももの骨の大腿骨の上部分、大腿骨頭でできている関節です。
この関節を曲げる、屈曲(くっきょく)という動きが足をあげるという動きになります。
この屈曲、という動きは前屈と同じです。
足をあげる動きも見方を変えてみると前屈の動きに似ていますよね?姿勢が違うだけで全く違った感覚がありますが、動きとしては同じ。
座って上半身を前に倒す前屈と同じように、股関節を深く屈曲するためには、足の裏側の筋肉が十分に伸びてくれなければ足は上がらないでしょう。
前屈が苦手、という方はこの柔軟性を高めることで足を上げやすくなると思います。
そして、立って足をあげる時は前屈のポーズと違って、重力に逆らって足を持ち上げなくてはいけません。
足を持ち上げようとするとき、どこに力が入っている感覚がありますか?
多くの人は太ももの前側の筋肉が緊張しているのを感じていると思います。
太ももの前側には大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉があり、その一部は足をあげる、股関節の屈曲するために働いてくれています。
でも人間の足は重たいですよね?体重の2割近くの重さがあるようです。
それほど重い足を持ち上げるためには大きな力が必要です。
太ももの筋肉以上に大きな働きがある筋肉が腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉。
体の深い部分にある筋肉でちょうどおへその奥のあたり、背骨や骨盤から太ももの骨までつながっている筋肉です。
この筋肉に足を引き上げるはたらきがあります。特に足を高く、90度以上持ち上げようとする時はこの腸腰筋の働きが必要です。
おへそと太ももを近づけるようになど腸腰筋を働かせていくための意識の仕方は様々です。
体の中にある筋肉はなかなかイメージしにくいですよね。腸腰筋が自分の体の中のどの辺りにあるのか探してみるのも助けになるようです。
ヨガでは腸腰筋のように体の奥にあって目に見えないところにある筋肉もはたらかせていくことで、表面の筋肉は余計な力が抜けやすく、呼吸も深くなってきます。
体の奥にある筋肉というのは、体のバランスそのものを安定させてくれる作用のあるものも多くあります。
姿勢が安定すれば呼吸とともにアーサナも心地よく行いやすくなるのではないでしょうか?
ウッティタハスタパータングシュターサナはとても難易度の高いポーズと言えると思います。
股関節の動きの柔軟性や筋肉の強さはこのアーサナの中だけでなく、様々な動きを通して少しずつ高めていくものです。
それまではヨガベルトなどを使用して、ご自身のペースで段階を経てチャレンジするのもいいのではないでしょうか?
どんな風に取り組むのがいいか、クラスの中でもインストラクターと相談して行ってみてくださいね。
それでは、安全で快適なヨガを!
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