ブログ,コラム,ヨガと体のQ&A,ヨガ解剖学 2018.06.09
腹式呼吸と胸式呼吸の違い(2)胸式呼吸について
それではもう1つの胸式呼吸はどのような仕組みなのでしょう?
肺は身体の中の肋骨の中に収まっています。
肋骨は背骨の一部の胸椎と胸の中心にある胸骨という骨と胸郭というケージをつくっています。
このケージの中に肺はあり、肋骨の内面にぴったりとくっついています。
このケージが前後左右上下、全方向に拡がったり閉じたりすることで、肺を全方向に膨らませたり小さくしぼめたりして、空気の出入りをより大きくしていくのが胸式呼吸と呼ばれています。
肋骨というとみぞおちあたりのイメージがありますが、実際は身体の脇から背中にかけてもつながっています。
みぞおちあたりだけでなく、脇のあたりは横方向にも、背中も後ろに向かって、まるで風船が膨らむように胸郭は全方向に拡がることができます。
胸郭を動かしてくれる筋肉は肋骨と肋骨の間にあります。それ以外にも例えば走ったりすると肩を上下させて、全身で呼吸をしますよね?
背中や肩にも胸郭を動かす筋肉はたくさんあります。
より深く呼吸をしようとするとつい肩に力が入ってしまうのはこのためです。
肩が上がりやすい方の中には、胸式呼吸をするとき、お腹はあまり動かないようにしている方もいるかもしれません。
この時、あまり力が入りすぎていても肋骨の動きを妨げてしまいます。
特に上腹部、それこそ横隔膜があるあたりの緊張が強いと、肋骨の下の方の動きを妨げ十分に胸郭が広がりづらくなるため、肩を上げて上方向に胸郭を広げるしかなくなってしまいます。
お腹の緊張というのは意識、無意識にも起こっていることが多くあります。
日頃からストレスの多い環境にあったり、内臓器に負担をかける生活習慣のある方は緊張が強い傾向もあります。
胸郭をより動かしたいと思うならば、胸郭の外側からの力でなく、内側から膨らむイメージで行ったほうが、余計な力が入りにくいかもしれません。
そして肋骨は背骨の中の胸椎とつながっていますから、肋骨を大きく動かすことは背骨の動きにもつながり、繊細な背骨の動きを取り戻していく助けにもなるでしょう。
腹式呼吸でも胸式呼吸でも、横隔膜は動いています。肺を動かすメインの動力源は横隔膜です。
精神的緊張や肉体的、内臓器の状態からくるお腹の緊張というのは横隔膜そのものの緊張を生みやすいですから、呼吸は浅くなりがちです。
人によってはゆっくりとした呼吸が難しいと感じるでしょう。
呼吸法という呼吸に意識を向ける時間を持ち、横隔膜やお腹、胸郭などの部位に意識を向け、動きを感じていくことは精神的な緊張を緩和したり、内臓器の働きを助けたり、その影響は無限にあるのではないでしょうか?
ヨガの流派によって呼吸法は様々です。
自分自身に合う呼吸法やヨガのスタイルを探してみるのもいいかもしれませんね。
それでは、安全で快適なヨガを!
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