YogaBodyコラム COLUMN

コラム,Joe Millerの解剖学コラム 2019.03.28

皮膚は呼吸する

自分を含め多くのヨガ講師がこのようなことを言うのを何年も聞いてきました。

「皮膚から呼吸をしてみましょう」 受容的なイメージや全身を使っての呼吸を呼びかけるための、ヨガ的詩的表現なのだと思います。

もちろんサンショウウオは肌を通して呼吸できますが人間はそうではない。と、思っていました。

最近はエステティシャンの学校でも私は解剖学や生理学を教えているので、自分の肌の生理に対する知識を見直す必要がありました。

すると肌は確かに呼吸しているのです。ある意味において。 皮膚細胞は周りの空気から酸素を吸収し、二酸化炭素を排出しています。

これについては昔から知られていました。実際1851年にはすでに。しかし私には新しい情報でした。 皮膚から拡散する酸素の量は極少量で、肺を通して吸収される量に比べるとほんのわずかな割合です。

しかし皮膚表面の層である表皮が必要とする酸素としては、かなりの量を供給しています。

表皮は真皮と呼ばれる深層にあるより厚い皮膚を覆う、薄いペンキの膜のようなものです。

真皮には血液供給がありますが表皮にはありません。表皮が血液から受け取れる酸素や栄養は真皮の取り残しだけなので、空中から吸収、補完される酸素は重要です。

私たちは皮膚への血液供給に直接影響を与えることもできます。

例えばアーサナの練習をすると筋肉が熱を発し、より多くの血液が皮膚へと流れこみ熱を消散させようとします。 一方で皮膚が空気中から吸収する酸素の量は受動拡散によるものなので、これを増やすためにできることはあまりありません。

とは言え、皮膚から呼吸するという表現は良いイメージだと思います。

次に座って呼吸する機会に、肌が柔らかくなり多孔質になっているところを想像してみましょう。

息を吸い込む時に、手のひらや足の裏さえも含んだ皮膚の表面全てが開き、呼吸を受け止めるところをヴィジュアライズします。

そして息を吐く時には、さらに肌が柔らかく広がり、薄いシルクのスカーフのように私たちの筋肉や骨を覆っているところを想像します。

緊張せずに行うようにしてみましょう。このイメージはあくまでも呼吸には全身が使われていることを思い出させるためものなので、風船のように自分を膨らます必要はありません。

皮膚を張り詰めず息を吸い、それをただ受け止めましょう。

 

日本語訳 Yo Miyamura

原文リンク Your skin breathes

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この記事を書いた人

Joe Miller

Joe Millerは、1980年代よりヨガを始め2000年よりヨガティーチャーとして現在までNYで活躍しています。
2009年、コロンビア大学の応用生理学において修士を取得。
解剖学を探究する中で人体解剖に携わったり、
フェルデンクライスのプラクティショナーの認定を受けるなど常に学び続けています。
2000年より人気ヨガティーチャーCyndi Leeが主宰したNYの伝説的なヨガスタジオOMヨガセンターで12年間指導し、指導者養成コースの解剖学主任として10年以上に渡り多くのヨガティーチャーを育てました。
現在はNow Yoga NYにてヨガクラスを指導し、ヨガメディアでの執筆の他、各国で解剖学講座を行っています。
豊富な経験と温和で落ち着いた人柄とオープンでフラットな指導が人気です。

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